二度目の明烏

8回目をむかえる「落語研究会 昭和の名人」は第1回目にも桂文楽師匠の「明烏」が登場しました。その時は白黒の映像で、初めて大きなスクリーンでみた文楽師匠の名人芸に多くの賞賛が寄せられました。第8回目の「明烏」はカラーの映像です。文楽師匠が高齢ゆえのスローなスタートで始まりますが、若旦那が長屋の住人たちに騙されて有名なお稲荷さんへの道中の辺りから車で言えばマニュアル車のギアチェンジのようにスピードが上がり登場人物がいきいき動き始めます。最初の映像よりも後年の映像ですが文楽師匠の若旦那の初々しさは変わりません。今回長屋の二人の動作や呼吸に注目してください。この物語の主人公が若旦那から二人にシフトチェンジして終盤を盛り上げるところは最晩年でも十八番が色褪せない証拠です。
初めて落語の映像を観るお客さまも落語を愛して止まないお客さまも楽しめる一席です。